熟成に向く酒質とは?
熟成に向く酒質とは?
昨日は、熟成酒・古酒についてお話しました。それでは、どのような酒が熟成に向くのか、私の経験から述べてみたいと思います。
まずは、新酒で「かたさ」を感じる酒。お酒を搾った段階で、旨過ぎないことであろうと思います。「無濾過生原酒」で「旨味」が強いような酒は、先がない酒質であり、むしろ、新酒では「旨味」を極力感じさせないような酒が、熟成に向く酒質です。
そのような「かたい」酒は、どのようにして出来るのか?
まずは「水」の性質。いわゆる硬水といわれる水は、「かたい」感じがします。これが酒の性質にも現れてきます。灘の宮水がその代表的なものになります。
次に「原料米」。熟成に向く米と熟成に向かない米。熟成に向かないと思われる米に、美山錦という酒造好適米があります。この米で造った酒は、新酒段階では、きらきらした透明感のある酒質となり、これはこれで魅力的なものがあります。しかし、熟成するに従い、その酒質に曇りが出てくるような感じがしてきます。
これに対し、熟成に向く米の代表には、「酒米の王者」山田錦があります。この米は、熟成するに従ってボディ感がでてきます。しかし、高香気性酵母を使用した場合は、その限りにありません。
最後には、やはり「造り」。どこにピークをもっていくのかという意識無しには、よい古酒とはならないと思います。ピークが先にある酒は、新酒での「かたさ」が伴ってくるものです。
真の「古酒」となりうるのは、「蒸米をどのように仕上げるのか」、「種麹の選択」、「麹の造り方」、「酵母の選択」、「酒母の形」、「醪の発酵管理」、「上槽後の火入れ方法」など、さまざまな要素を勘案し、熟成に向く酒質の組み立てが出来た蔵元の酒のみです。もちろん蔵元が味オンチでないことは言うまでもありません。
それ以外の古酒は「出来ちゃった古酒」で、高い金を出す価値はありません。
私はなかなか「古酒」には、手が出せません。しかし、今まで飲んで一番旨かった日本酒と言われて思い浮かぶのは、十年以上低温で寝かせた大吟醸古酒なのです。


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