杜氏の現状について 三州は山の中!
杜氏の現状について 三州は山の中!
最後は、季節雇用の杜氏です。
一般的なイメージは、酒造りの時期になるとやってくる、杜氏が引き連れてくる技術者集団、そんなところだと思います。
伝統に裏づけされた確かな技術。酒造りの奥義を極めた熟練の技が醸し出す酒は、まさに極上の一滴・・・、って幻想じゃないでしょうか?
こう言ってしまうと身も蓋もないのですが、一歩間違えれば単なる出稼ぎ集団です。
本業は農家。酒造りは農閑期になるとやってくる割のいい副業。普段は誰にも相手をされなくても、酒造りになると酒飲み連中から尊敬の眼差しで見てもらえます。
酒造りの知識は時代遅れのものが多く、思い込みと怠惰の結晶が経験という名のオブラートに包まれ、市場の変化に対応できない技術となっています。
加えて、年間を通して酒質の変化を確かめることが少ないので、酒造りへのフィードバックがありません。
また、杜氏は休みもなく夜中まで作業して大変だと言われています。しかし、半年近くも休みもなく夜中まで作業して体が持つわけがありません。疲れないように休憩をたくさん取っているのでできる事なのです。
わけがわからないのが、持っている技術を教えようとしないことです。なんだかコソコソやっているんですよね。醪へパッパッと何か振りかけていたりと・・・。「技は盗んで覚えろ」の世界が生きており、一見、かっこいい感じもしますが、要は、技術を覚えられたら即失職という憂き目に遭うのを避けるための自己保身なのではないでしょうか。
蔵人として働いた経験からすると、季節雇用の杜氏は作業的に楽をしたがるので、働くほうとしては楽にできました。ただ、酒質向上への欲求は満たされることはありませんでした。
季節雇用の杜氏の悪口みたくなってしまいましたが、私が感銘を受けた酒は、オーナー杜氏の酒でもなく、サラリーマン杜氏の酒でもない、かつての季節雇用の杜氏が造った酒だったことも確かです。
義侠の佐藤勝郎杜氏、倭小槌の浅沼弘三杜氏、羽陽男山の佐々木四郎杜氏、栄光冨士の熊谷喜一郎杜氏、志太泉の高橋貞實杜氏、萩の鶴の葛巻文夫杜氏、これら南部杜氏の方々の大吟醸には凄みがありました。
数多くいる杜氏の中には、まだまだ素晴らしい技術を持ち人格的に優れた人物もいらっしゃると思いますので、本日の話は参考まで。


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